2009年8月22日土曜日

2009年山水人日記 「自分の役割」by.misato

 奄美大島から帰ってからしばらく仕事なんかして、
ようやく時間が空いたので、8月14日のお昼に朽木へと向かった。
相変わらず京都から朽木への原付でのドライブは
梅の木の交差点を左折してから緑が次第に生き生きと美しくて、
京都のうっそうとした暑さとはうってかわって風がひんやりと心地よく私を包み込んだ。

しばらくして、私たちが6月に田植えした田んぼの横を通った。
そこは一面がすべて緑色に変わっていた。それはそれは美しい緑色に。
あんなにもほっそりとした苗は、今はしっかりと大地に根を下ろしていた。
均等に並んだ稲穂はとても力強く逞しく感じて、
それはきっと一本一本に籠められた思いなのかもしれないと、
見ているだけでなんだか元気をくれる。

山水人 朽木


久しぶりに朽木へ帰って来た。

母屋に着くなり、リラが駆け寄ってアイとジンガが飛びかかって来た。
あぁ覚えていてくれたんだなぁと少しうれしく思う。
気付けば前回の田植えより既に2ヶ月が経過している。
しかしその2ヶ月間は私のすぐ傍に山水人があったのだった。


山水人 朽木


奄美大島では山水人で再会するだろう出会いが無数にあった。
5年目にして山水人の知名度は驚く程で、
山水人に関わっているというだけで、出会う人がより身近になった。
そうして何度も何度も世界の狭さを実感する。
「じゃ、山水人で。」
別れ際にそう言える嬉しさが、なんだかとてもありがたかった。
ひとつひとつの出会いが私の人生と深く混ざり合う。


山水人にある大きな母屋は、相変わらずどしんとそこにあって、
その安心感にほっと、まるで田舎の家に帰って来たような気持ちになる。
「ただいまー」とそう言いたくなる程にここは私を受け入れてくれる。
ほんの2ヶ月前のたった1週間の滞在は
既に色濃く深く、私に刻み付けられていた。

着いた日、山水人は相変わらずでとても静かで、
数人の山水人村の住人や、子供たちや、長期間母屋に滞在している人や、
そして数人の手伝いが山水人の準備にとりかかっていた。
ゆっくりとまつりが近づいているのだ。

山水人 朽木

6月くらいから、数人で何度も打ち合わせをしてフライヤーやWEBに向けて
様々な細かい詳細が決まっていった。
様々な問題が起こっては消えていき、起こっては変化した。何度も。
今思えば、こんなに大きなまつりなのだ、関わっていくみんなが本当に必要で、
そしてみんなが山水人の事を大事に思っている。
気持ちが入れば入る程に熱くなっていく。それは当然の事だ。
熱い思いはぶつかり合って弾けていく。

こうしたい!と思って、けれどうまく行かなかったときに、
ヨガの先生のトシ君がよく言う言葉を思い出す。
「だから俺、いっかい手放そうと思って。」
それは決して”どうでもいいや”なんて投げやりになるのではなくて、
温かな気持ちをもって見守ること。時の経過を、さまざまな流れを。
客観的であって、けれども決して遠くない。
それはきっと深い愛が繋いでくれるのだろう。

実際にやらなければならないことはほんの一部だ。
しかもそれは自分たちの力量にみあったものでなければならない。
それぞれがそれぞれの出来る事を出来る範囲で。無理をせずに。
そうしてゆっくりと私たちは水を流すための溝を掘る。


さて私はどんな水を流そうかと思いを馳せる。
先日読み終わった”ミュータントメッセージ”に書かれていたのだが、
オーストラリアのアボリジニ”真実の人”族は、
人をその人の得意なもの名前で呼ぶ、例えば”女の癒し手”や”石探し名人”等と。
その一人一人には役割があるという。
私は人の名を呼ぶ事が出来るだろうか、そして自分の名を呼ぶ事が出来るだろうか。
私の役割は一体なんだろう。

気付けばいよいよ山水人もあと残す所1週間程となった。
GOAGILが始まるまでにたくさんのTIPI設営が行われる。
手伝いに来てくれるという人の集まりも
例年以上にゆっくりで、大丈夫かなぁとなんとかいいつつも、
どうやら現在は20人程が集まってくれているそうで、
また来週からもっともっと人が増えて、一気に準備は進むだろうか。
それぞれの役割がはっきりとわかれば、きっとそれはとても楽しくスムーズになるだろう。

私も明日再び京都から朽木へと上がる。

既にこんなにも様々な事を山水人は与えてくれる。それは自信や、これからの希望や。
乾いた土に水をやるように、どんどんと大地に水がしみ込んでいくのが分かるように。
ありがとうと、そう深く思う。

写真と文:misato
http://www.ne.jp/asahi/misato/hirono



▽大工の棟梁がやってきて、農小屋作りが始まっている。
山水人 朽木山水人 朽木

▽イーリャダスタルタルーガスのメンバーも山水人の重要な一員だ。
山水人 朽木

▽実は去年の玄米は精米の時に石を巻き込んだ。
   毎日玄米を食べる為に石をとる作業から始まる。ちょっとハマル。
山水人 朽木